16日は北海道で打ち合わせがあり、一週間前には行きの航空券の予約は済ませたが、その後の予定が決まらない。

冬に故郷の北海道へ行く機会が出来たことを喜びつつ、ラーメンとビールだけで、まっすぐ日帰りするのか、1泊して撮影へ出かけるか、

撮影するにしても、札幌市電で午前4時のササラ電車を撮るか、それとも北見へ足を伸ばしてDF200へ置き換わったジャガイモ貨物を146KPで撮るか?

また、北へ足を伸ばして宗谷ラッセルか?ラッセルなら雪が大量に無いと再チャレンジの意味もない。

宿の場所はどうするか?稚内に宿を取るにしても、札幌発18:30で稚内着が23:47では稚内でレンタカーを借りることもできない。

となるとレンタカーを借りるのは札幌にするか、撮影用の荷物は客先へ持って行くのも考えもので、駅のロッカーに預けるしかない。

選択肢が多いのではなくて、選択肢がなさ過ぎる。

結局出発日の朝まで決まらず。とりあえずは函館山線の夜ラッセルも視野に入れて、レンタカーのみ千歳でピックアップすることにした。

当日は千歳から同僚と共に札幌まで移動、仕事に関係のない荷物はパーキングの車に置き、業務をこなした。

雪祭りの準備がすすむ札幌市内は前日3度まで上昇して雨が降ってしまったため、全てが凍りついていた。内地用の靴で歩くのは至難のワザである。

無事任務を完了し、天気予報をみると稚内は今晩から雪とのことで、一縷の望みを託して稚内行きに決定した。

18時に札幌を出発となり、前回宿泊したサロベツ会館は21時が最終チェックインで、楽観的なカーナビ到着予定時刻でも23:30と、今回はとても間に合わない。

一応電話を入れてみるも「今晩は無理」とのことで、抜海駅辺りで車中泊となることが決定した。

気温は-6度くらいで軽く凍った高速を深川JCTまで飛ばす。

今回走った中では、これは楽勝な方で80km/hから100km/hくらいで流れている。

「路面凍結のため80km規制です」とか…もっと酷いと50km規制というバージョンもあったが、自分は路線バスにすら抜かれる80kmくらいでノロノロと北を目指した。

深川JCTから入った深川留萌自動車道は工事のため途中で降りることとなった、その後は真っ暗な留萌本線沿いの街々を通過していき、最初の給油と食料の調達を行った。途中の踏切に灯る明かりも鉄ココロに染みる。

その後はほとんど車も走っていないオロロンラインを北上して行く。

カーナビの抜海駅到着予想時刻は23:00からどんどん後ろへ伸びるばかり。

夏はドライブコースの最右翼と呼ばれるオロロンラインは冬は別の顔である。

北国の親玉が本性を表した。

1m先も全く見えない地吹雪に何度も遭遇し、その度に停車せざろう得ない。

この画像では上の矢羽根ポールが見えるからマシと言える、正直これしか見ないで走ってる。

が、それでも地元民には抜かれる。

北の民は、フライング・フィンなどと呼ばれる北欧ドライバーと同じか?

正直、しばらく走っていると路面はウェットアスファルトだろうが、圧雪だろうが氷だろうがどうでも良くなってくるが、前が見えないのは流石に無理である。彼らには、なにか第六の感性(体内レーダー)が備わっているのかもしれない。

少し時間は進めて、帰り途中の旭川で見かけた教習車。

自分の母は夏に免許を取ったが、雪が降った時期に雪上スリップ補習を受けていた。

常にこんな路面を走っていれば、凍った圧雪に慣れるのだろう。

前方視界不良に、凍った路面、さらに沿岸強風で蛇行する車。大変という言葉では言い尽くせない。

6時間ほど辛抱して走った後、前方にシェルターパーキングを発見、車を止めた。

出口には猛吹雪が荒れ狂うが、中は静かで、深夜12時には通過する車も無い。

今晩の宿はここに決め、久しぶりの現地サッポロクラッシックで乾杯。

1時前に就寝、7時に出れば、8時半には間に合うだろう。

6時間雪道を運転した疲労とサッポロクラッシクの酔いでカローラのシートを倒した。

翌朝起きると、いつの間にか前に同宿車が増えていた。

かなり明るいが晴れているわけではない。

すでに最北稚内市である。最高気温マイナス10度の世界へようこそ。

交差点、完全にブラックアイス、ただ既にブラックアイスなど知ったことかと言う気分である。

海沿いの道を夏であれば良いのにと矛盾したことを考えながら進んで行く。

風が強いので路面に雪がまったく無い、とうぜん左にハンドルを切り続けていないとまっすぐ走れない。

さらにホワイトアウト再び、路肩から落ちると通過する車も居ないので救援が来る前に「確実に死ぬ」

まだ路面の黒いアスファルト轍が見えるのでなんとか走ることができる。

路面が白くなって来て、矢羽根ポールも無いのでキツイ

抜海駅前の民家、隅に張り付く雪と、枯れた草が出る薄い雪原、最高にエモイ。

芳賀一洋先生のジオラマの冬バージョンである。

霞んで見えるのは地吹雪…

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ついに目的地に到着、総走行時間7時間ほどであろうか…しかし海沿いはキツイ(この時は海沿いだからと思っていた)

思ったより雪が少ない…

駅にいたご同輩と挨拶をして、皆で稚内行きの一番列車を見送る。

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皆8時には撮影ポイントへ到着した。線路は見えない程度には雪は積もっている。

そして、ディーゼルの咆哮が聞こえて来た。

雪の降りが激しいが、跳ねる雪の量は思ったほどでも無い。

8時間走って来たとは言え、雪も自然の恵、贅沢は言えない。

なんとか撮影できたが、たった10分ほど外に居ただけで凍えるようである。

カメラもご覧の通り、防塵防滴でないと、この手の遠征には使えない。

もちろん直ぐにタオルで拭く。

雪の量も少ないし、寒すぎるのですっかり諦めモードになり、次のポイントはどうでも良くなった。

セイコマでホットシェフの唐揚げ弁当を朝食とした。

撮影していた時間以外はほとんどカローラの中に居る。

もう撮影する気もゼロなので音威子府を目指して南下する。

帰りは海沿いじゃないから楽勝だと思っていた…思っていたのだよ。

こちらも変わらずホワイトアウトだらけ、自衛隊のトラックにSUVが突っ込んでいた。

これ以外にも正面衝突系の事故が多数。

何も見えないから停止したら1m目前に対向車が止まっていたことも…

ホワイトアウト 死亡、多重事故相次ぐ 道内暴風雪

路面はガチ氷なのでビビって急ブレーキをすると対抗車線へはみ出してしまうって寸法である。

フォースとか第六感とか無かった、無鉄砲なだけだった。。。

音威子府駅で蕎麦でもとおもったが休業中であった。

入場券を買ったわずかでもJR北海道へ恩返し

くー雪晴れのラッセル、次こそ見ておれっ!

 

用も済んだので、帰路に着くが、この吹雪で高速道が通行止めとなり、ひたすら下道を通ることとなった。

帰りの飛行機は19:30発である、チェックインが19:00までとすると、千歳のレンタカー営業所へ着くタイムリミットはさらに30分前の18:30となる。

行きと同じく、どんどんと到着予想時刻が伸びはじめて、ついに19:00を超えた時点で飛行機の時間を1時間遅い便へ変更した。

しかし、タイムリミットが一時間繰り下がったが、カーナビの到着予想時刻は既に19:30、伸びこそすれ、このクソ道路状況では、まったく時間を削れる予感がしない。

20:30などという中途半端な時間ではなく、もっと遅い飛行機は無いか探すと、21:00と21:45があった。

21:45は早々と欠航となっているので、21:00の羽田の到着時刻に注目すると、22:40…

羽田から自宅へモノレール、京浜東北、埼京線と乗り継げるの最終列車は22:38分

21:00の便だと終電に間に合わない!

プチッ、滝川ICから乗った道央道は一応アスファルトに粉雪が漂うだけ、ツイにワシも追い越し車線の人となった。

なんとか、高速道路で時間を削り19:08には営業所へ着いた。

札幌を過ぎて、千歳近辺になると道路は普通の濡れただけの路面。あれだけ苦しめられた吹雪も全くなし。

旭川から千歳は、新潟上越から東京くらい離れてるから上越が吹雪でも東京は雪の影も形も無いのと同様であろう。

同じ北海道とはいえ、道北の道は種類が違う。最高気温が零下のままだから全く氷が溶けない。日がさして濡れたアスファルトがのぞくなんて天国である。

車を返却し、20:00には手荷物検査場を抜けて、余った非常食をツマミにサッポロクラッシックで乾杯。

次こそ雪晴れを狙うぞ!!と、なぜか10時間ほど運転した疲れは感じないのであった。

オチ

飛行機の出発が30分遅れました。

30分と言いながら、到着は50分遅れの22:50、おれの終電には間に合わねぇよ。

CAとかパイロットとか、遅れましてスイマセンとか言ってるだけだからねー、怖いねー、終電無くなった人はどうすんだろ。

私は飛行機出口からダッシュで23:05分発の武蔵浦和行きバスに乗れました。本当にギリギリでした。

本当に寒いのは飛行機会社の遅れた時の対応でした。

おはり

1件のコメント

  1. いいなぁセイコマのお弁当。
    違う!ラッセル撮れて成果あったじゃないですか!

    せーろく
  2. >こいでさん
    ありがとうございます。
    想像していたより大変でした。
    16時間乗ったカローラはお尻も痛くならず、良いシートなのかもしれません。

    >せーろくさん
    レジの横で調理しているニオイにツイ買ってしまいました。
    移動距離と成果(1枚)の差におののきます(笑
    次回はもうちょっと検討をしてから行きます。

    デモドリ
  3. おお!すげ〜小説みたい!
    こんな中自分じゃ運転絶対無理っす。
    しかもレンタカーww

    目的が撮り鉄ってのもすごい!
    女(笑)に会いに行くとかなら頑張れそうですが(笑)

    無事で何よりです〜。

    tatsuro
  4. つべに上がってるロシアなんかのドラレコ見てるとめっちゃ怖いもんねぇ。本州のスキー場に行く道中とはまったく違うんでしょうな。

    寒さは北海道並みの北京ですけど雪なんか滅多に降りませんからねぇ。スタッドレスはおろかチェーンすら誰も持ってない素よ。

    ワタナベ
  5. >tatsuroさん
    この道は地元の人も無理だったみたいです。
    みんなハザード焚いて50km/hくらいでコンボイ組んでました。
    今回ばかりは生きた心地がしませんでした。

    >ワタナベさん
    本州でも同じような道路状況はありますが、北海道は広いので、200km4時間ずーっと同じ状況が続くとか、とても比較にはならないです。
    前が見えないホワイトアウトは最悪です。雪が降らなくてラッキーですよ。

    デモドリ

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